2019/10/31
日本でものづくりに携わる人々へ(投稿者:マイケル竹若)
ブログネーム、マイケル竹若です。
Twitterを覗いていると
ある記事を見つけました。
https://toyokeizai.net/articles/amp/305116?display=b&_event=read-body
東洋経済オンラインのデービッド・アトキンソン氏の
日本のものづくりに対する警鐘を鳴らす記事です。
デービッド・アトキンソン氏はオックスフォード大学で日本学を専攻しその後、ゴールドマン・サックスで日本経済のアナリストとして活躍しました。
現在は小西美術工藝社社長です。
http://www.konishi-da.jp/gaiyou/data.html
300年続く老舗企業で神社仏閣の修復を請負う
会社です。アトキンソンさんは慣習になっていた
ことを大改革を起こし小西美術工藝社を再興しました。職人という言葉にあぐらをかいていた人達に
改革を起こしました。
印象的なのは60代の職人より20代の新入りの方が
収入が高い仕組みにした点です。
伝統工芸は引き継ぐ人が居るから成立する
なので新人の収入を上げ引退間近の人たちの収入を
下げました。納得いかない人は辞め、社会的意義に
共感した職人だけが残り、新入より少ない収入でも
新人教育に取り組んだ話です。
話は戻しましてその東洋経済オンラインの記事の内容ですが日本経済の根幹的な欠陥がある法律にあると
警鐘を鳴らす内容です。
中小企業基本法が諸悪の根源と訴えています。日本は小さな企業で働く人が多くその事が日本の生産性を落としているという指摘です。
1964年日本はOECD(経済協力開発機構)に
加入しました。
その条件として「資本の自由化」が
突きつけられました。
資本が自由化されれば外資に乗っ取られる。
そういった脅威論が唱えられ
「小さな企業」を守るシステムが
続々と整備されました。
つまり、1964年は、日本を「低生産性・低所得の国」にした「非効率な産業構造」が産声を上げたタイミングだと主張されてます。
生産性が高い国では、有給休暇取得率が
高い傾向があります。
「有給取得率は企業規模と関係する」
という要因分析がなされています。
大企業になればなるほど有給取得率が上がり
小さな会社になればなるほど下がる。
この傾向は万国共通で、日本も
例外なく当てはまるそうです。
アメリカの有給取得率が高いのはアメリカ人の国民性ではなく、単にアメリカの労働者の約50%が大企業で働いているから。
日本の有給取得率が低いのも日本人の国民性ではなく、単に日本の労働者の中で大企業に勤めている人が約13%しかいないからだと分析されてます。
ものづくり携わっているはしくれとして
感じることは、原材料費、人件費が高騰してるにも関わらす、単価や販売価格が上がらない
なのに、品質管理が厳しく、採算が合わなくなっています。
情報ソースを失念しましたが
アメリカの経済は自動車産業で日本の自動車産業に
敗退した事が偶発的にも、GAFAなどの新規産業に
優秀な人材が流入したきっかけとなり
結果的に次世代の産業構造にシフト出できた。
一方で、なまじ日本の自動車産業は世界のシェアを
多く獲得したため日本経済は自動車産業に
依存したままとなり、次世代産業に
なかなか構造変換ができないままで
ジリ貧になっているという
分析をされていた人がいました。
確かに日本のものづくりは
「安かろう」が潜在意識に刷り込まれてる傾向か
あり、未だに発展途上国が行ってるような
コストカット中心のものづくりを行っています。
それは物価の低い国が行うものづくりです。
デフレから抜け出せないのは
日本の産業構造が発展途上国が行う振興としての
ものづくりから構造転換できてない点に
あると思います。
(最近は気候変動や情勢不安、新興国の需要の高まり
貴重資源の枯渇、増税などで給料が上がらないにも関わらず物価上昇が起こる、スタグフレーションの懸念がありますが)
最近のものづくりの現場で感じるのは
日本人は「愚直で勤勉」と言われていましたが
「保守的で従属的」という特徴を
日本人自身が日本人像を理想化、美化して
かいかぶってるのではと思う惨状です。
株式会社パーソル総合研究所は、日本を含むアジア太平洋地域(APAC)14の国・地域における就業実態・成長意識についてインターネット調査を実施しました。。
1.中国(北京、上海、広州)
2.韓国(ソウル)
3.台湾(台北)
4.香港
5.タイ(バンコク)
6.フィリピン(メトロマニラ)
7.インドネシア(ジャカルタ)
8.マレーシア(クアラルンプール)
9.シンガポール
10.ベトナム(ハノイ、ホーチミンシティ)
11.インド(デリー、ムンバイ)
12.オーストラリア(シドニー、メルボルン)
13.ニュージーランド
14.日本(東京・大阪・愛知)
日本の就業意識の特徴を国際比較により
明らにした調査です。
勤務先以外での学習や自己啓発について、日本は「特に何も行っていない」が46.3%で、14の国・地域で最も高い。2位のオーストラリアと比べて24.8ポイントも差があり、断トツで自己研鑽していないそうです。
https://itjinzai-lab.jp/article/detail/1832
またGDPに対して教育の公的支出割合は
OECD加盟国の中日本は最下位
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190915/k10012082611000.html
発展途上国や新興国は人工知能や
ビッグデータなどの先進技術を使い
「リープ・フロッグ」(蛙飛び)といって
一足飛びに先進国の仲間入りを狙う
国々が現れてます。
https://project.nikkeibp.co.jp/idg/atcl/idg/14/080400022/
新興国は元から何も無く
規制や既得権が少ないので
新しい試みがやりやすい。
一方、アメリカや日本などの先進国では
法規制が厳しく、またインフラやサービスも
構築されてそれに関わる既得権があるので
なかなか先進技術を利用した試みがしづらい。
新興国がリープ・フロッグに成功し経済大国
の仲間入りをしていけば、自ずと日本経済は
後進国もしくは、衰退国と言われる
可能性があります。
そうならないように、ただコストカットやムダ取り
などと言った努力の割に利幅の狭い業種から
脱却しより少ない労働で
より多くの価値を生む生産性の高い
業種に構造転換するそしていま自分が行ってる仕事が
将来の日本の行く末を担ってると言った自覚を
一人一人が持ちながら日々の仕事、生活を
変えて行く意識を持つべきだと思いました。
昨今超大国が自国中心主義の中央集権的な
政策を推し進めている以上
アジアの小国が連帯して、そういった脅威に
対応しなくてはなりません。
そのためには、かつてアジアの経済大国だった
と言う驕り高ぶる精神を正し日本も
いちアジアの小国だという事を
自覚しなければなりません。
以上